乳腺外来は紹介状をお持ちになって受診して下さい。
木曜日13:00~14:30の受付です。
乳癌の治療法には手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法などがあります。このうち原発性乳癌の治療の基本で第一選択となるのが手術です。腫瘍が大きい場合、リンパ節転移がある場合、皮膚や筋肉に浸潤していたり炎症性乳癌の時は化学療法を先に行うこともあります。乳癌の再発や転移の場合はそれまでの治療や再発・転移部位、ホルモン感受性などを参考に治療方針を決定します。
乳癌の手術と言えば以前は乳房切除(乳房をすべて取る手術)が唯一の治療法でしたが、乳房部分切除+放射線治療と比較すると生存率で差がないという成績が報告されて以来、乳房温存手術が増加してきました。ただし全ての乳癌で乳房が温存できるわけではなく条件が決められています。乳房喪失は女性にとって精神的にも肉体的にも苦痛となるため可能であれば乳房は残して欲しいという方が多く、当院でも全乳癌手術の約半数の方に温存手術を行っています。
1) 乳房温存手術
しこりとその周囲の正常乳腺組織の一部を切除し乳頭・乳輪を温存する方法です。「乳房温存療法ガイドライン」では以下の適応条件を定めています。
乳房温存手術後の治療として乳房内再発を予防する目的で、原則的に残存乳房に5週間の放射線照射を行います。
2) 胸筋温存乳房切除術
乳房温存手術の適応のないもの、患者さんが乳房切除を希望する場合は胸の筋肉を残して乳房全体を切除する方法を選択します。この場合病状を考慮して乳癌手術と同時にあるいはしばらくしてから乳房再建を行うこともできます。人工乳房や自身の筋肉・脂肪を使用して行います。
3) リンパ節郭清
癌の病巣を取り除いた後わきの下のリンパ節を切除することです。転移の可能性のあるリンパ節を除去すること、それにより癌の進行度を知ることができ術後の治療方針を決めることができます。
-センチネルリンパ節生検-
腫瘍から最初に流入する腋窩リンパ節をセンチネルリンパ節と呼び、それに転移がない場合には残りのリンパ節にも転移がないと判断する方法です。これにより腋窩リンパ節郭清が省略でき、上腕のリンパ浮腫や運動制限などの術後合併症を回避できるという利点があります。平成22年4月より保険収載され、標準治療として認められました。当院でも患者さんと相談の上色素法及び蛍光法で施行しています。
腫瘍が大きく乳房温存療法を希望してもそれができない場合、リンパ節転移がある場合、炎症性乳癌、皮膚に浸潤している局所進行乳癌などに対して手術前に抗癌剤による治療を行い腫瘍を縮小させる方法です。
乳癌は乳房のみの疾患というより早い時期から全身の疾患と考えられています。手術で腫瘍が切除できても腫瘍細胞が全身を巡り再発や他臓器への転移をおこす危険性を考慮せねばなりません。こうした再発・転移の可能性を少しでも減らすための治療が術後補助療法であり乳癌の手術後は病状に見合った治療を選ぶことが必要です。当院では基本的に世界的標準治療であるSt. Gallenの基本方針に沿って行っています。
術後全身治療としては一般的にホルモン療法、化学療法があります。病状に応じて単独であるいは併用して治療をおこないます。
1) ホルモン療法(内分泌療法)
乳癌の中には女性ホルモンによって癌が発育するものがあるため、それを抑える抗エストロゲン剤やアロマターゼ阻害剤の内服が有効です。閉経前の卵巣機能の活発な方にはLH-RHアゴニストという月1回の皮下注射を行うこともあります。腫瘍のホルモン感受性が陽性の患者さんが対象となりますが、一般的にホルモン療法は副作用が少なく効果が長期間にわたるため有効な治療法です。
2) 化学療法
乳癌は抗癌剤が有効な腫瘍の一つで、術後に再発の危険性が高いと考えられた場合は化学療法を行うことにより再発率が低下し生存率が高くなることが証明されています。一般的に抗癌剤が必要とされる方はわきの下のリンパ節に転移がある場合で、転移がなくても年齢・腫瘍の大きさ・ホルモン感受性・組織学的異型度・HER2などを参考にして治療の適応・内容を決定します。
3) 分子標的治療
平成20年2月より新しく保険適用になった治療法です。対象はHER2が過剰発現している乳癌で再発の危険性の高い人(例えばリンパ節転移陽性あるいはリンパ節転移陰性で腫瘍が0.5cm以上の方など)です。通常抗癌剤治療が終わったあとに開始され、3週間に1回、1年間(計17回)にわたって点滴治療を行います。副作用は初回の悪寒・発熱以外は軽微ですが、費用が高いため高額医療費の適用になることがあります。抗癌剤治療の後さらに再発率、死亡率を36%、34%低下させる効果があります。
当院は日本乳癌学会関連施設、福岡県対ガン協会乳癌検診、精密検診施設に指定されており、マンモグラフィ、超音波、細胞診、針生検、マンモトーム、MR、CTを駆使して各科と協同で診断を行い、また治療方針の決定については患者さんと充分話し合いインフォームドコンセントのもと行っています。
甲状腺は前頚部にある蝶のような形をした15~20g程度の小さな器官で、新陳代謝をコントロールする甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺の病気にはバセドウ病や慢性甲状腺炎などの主に内科的治療を行う病気と、外科的手術の対象となる甲状腺腫瘍があります。良性腫瘍は有病率が100人に1人、悪性腫瘍は1000人に1人程度で、好発年齢は40~50歳代をピークに幅広い年齢層に分布し、男女比は1:5~8で女性に多いのが特徴です。まず甲状腺腫瘍が疑われた場合良性と悪性(乳頭癌)の鑑別が重要ですが、注射針で腫瘍細胞を吸引する細胞診や超音波検査をおこないます。癌のうち90%を占める甲状腺乳頭癌は生命に関わる可能性のほとんどない低危険度群(80~90%)とその可能性が高い高危険度群に区別されます。前者の10年生存率は99%以上ですが、後者は50%~70%程度です。高齢、大きな腫瘍径、甲状腺外浸潤、遠隔転移、巨大なリンパ節転移などが重要な予後不良因子とされます。他に有効な治療法がないため手術が第一選択です。癌の場合は前頚部を横に切開して甲状腺の一部あるいは全部を摘出し、同時にリンパ節を郭清する手術を行います。良性腫瘍の場合、同様の傷で甲状腺の一部を摘出する手術が一般的でしたが若い女性に好発すること、首に手術の傷が目立つことなどから、一部の方には内視鏡手術を行っています。
当院では患者さんのニーズに応えるべく平成14年4月より「乳腺・甲状腺外来」を開設いたしました。精密検査が必要な方は是非外科外来までご問い合わせください。なお通常の乳腺外来(紹介状不要)は毎日行っています。