大腸がん・直腸がん

はじめに

 大腸癌(結腸癌+直腸癌)は癌死亡数では肺癌、胃癌についで第3位であり、2004年度では男性21,835人 女性18,207人で20年前の2倍となっています。大腸癌は食生活の欧米化に伴い今後増加も増加することが予想されています。

主な検査

大腸の早期癌の場合、ほとんど無症状のことが多く大腸癌集団検診では免疫学的便潜血反応が見つけ出しのための検査(スクリーニング検査)として用いられています。ただし検出率は比較的低く早期癌で50% 進行癌で90%が陽性であり早期癌の見つけ出し検査としては必ずしも鋭敏とは言い難いようです。したがって大腸癌のスクリーニング検査としては注腸造影検査、大腸内視鏡検査が有用といえます。注腸造影検査は下剤で前処置を行い十分便を排出した後に肛門にチューブを入れバリウムと空気を注入しX線写真をとり癌の正確な位置や大きさ腸の狭さなどをチェックします。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し直腸から盲腸まで全大腸を詳細に調べる検査です。便が残存していると十分な観察ができないため検査当日に腸管洗浄液を約2リットル飲用し検査を行います。大腸癌の診断がされた場合、上記のX線検査 内視鏡検査に加え腹部エコー CT検査を行い、癌の広がり、浸潤の深さの正確に判定します。さらに超音波内視鏡(内視鏡にエコーの器械が付属したもの)を施行することもあります。総合的に癌の進行度を決定し、内視鏡治療や手術の術式、抗がん剤の使用など治療方針を決定していきます。

治療

1.内視鏡治療

1) 一部の早期大腸癌(粘膜内癌、粘膜下層の浅い部位に癌が留まっているもの)は内視鏡的粘膜切除術(EMR)により治療できます。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)はスネアと呼ばれる金属の輪っかを病変に引っ掛け高周波電流を流して切り取る方法で安全で確立された治療法です。当院では1-2泊の短期入院で内視鏡治療を行っています。

2) 診療実績

平成18年度 大腸消化管内視鏡症例数 1,439例
  大腸癌に対する内視鏡治療 21例

3) 担当医師

消化器内科 部長 瀬尾 充
放射線科 部長 松浦 隆志

2.手術療法

1) 手術方法の選択肢として、(A)腹腔鏡下手術と(B)開腹手術があります。

手術方法の選択:
 ① 原則として(A)腹腔鏡下手術を第一選択とします。
 ② 以下の場合は開腹手術とします。
  ・癌が大腸/直腸全層に浸潤して胃の表面に露出している可能性がある
  ・癌が大きい
  ・癌が近接臓器に浸潤
  ・癌に対して開腹手術歴がある
  ・癌により腸閉塞状態となっている
 ③ 全身状態や術前合併症も考慮します。

2) 診療実績

大腸がんの手術実績

2007年 腹腔鏡下手術 22例
  開腹手術 32例
2008年 腹腔鏡下手術 29例
  開腹手術 15例

直腸がんの手術実績

2007年 腹腔鏡下手術 11例
  開腹手術 20例
2008年 腹腔鏡下手術 16例
  開腹手術 15例
(付) 転移性肝癌の外科的治療

治療方法の選択肢
  A) 開腹または腹腔鏡下肝切除術
  B) 開腹または腹腔鏡下ラジオ波焼灼術
  C) 体外ラジオ波焼灼(肝臓内科)
  D) 肝動注科学療法(放射線/外科/腫瘍内科)

治療方法の選択:
  ① 局所再発、腹膜播種、リンパ節再発、他臓器転移のない大腸・直腸癌の肝転移は原則として開腹肝切除術
  ② 大きさ、転移個数、腫瘍占拠部位、肝機能、合併症、全身状態等を考慮して肝臓内科、放射線科とのカンファレンスで決定

3) 担当医師

副院長   一宮 仁
外科 部長 加藤 雅人
乳腺内分泌外科 部長 大城戸 政行
消化器外科 部長 許斐 裕之
外科 医長 松本 耕太郎

3.化学療法

1) 抗がん剤

 転移があって手術ができない大腸がんの患者さんや手術後に再発した大腸がんの患者さんの治療には、抗がん剤を使用します。最近、大腸がんに効きめのある抗がん剤が使用できるようになりました。複数の臨床試験で延命効果が証明されたいわゆる標準的治療を実施しています。大腸がんに対して使用している主な抗がん剤を以下に示します。

以下のような組み合わせで使用し、以前より良好な効果を得ています。

あるいは、患者さんの状態や病状の進み具合などを考慮しながら、他の組み合わせや単剤で治療を行っています。

2) 分子標的治療

アバスチン(ベバシズマブ):
 「血管新生阻害剤」と呼ばれる新しいタイプのお薬です。
 抗がん剤と一緒に使うことで効果を発揮します。抗がん剤とは異なる特徴的な副作用(消化管穿孔、血栓塞栓症など)があらわれることがあります。

アービタックス(セツキシマブ):
 「上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤」と呼ばれる新しいタイプのお薬です。
 これまでの抗がん剤に比べて重い副作用などが少ない薬であると考えられています。アレルギーや皮膚症状(炎症、乾燥など)がおもな副作用です。

3) 診療実績

平成20年度 大腸・直腸がん 新患患者数 37名(うち術後補助化学療法11名)

2) 担当医師

腫瘍内科 部長 三ツ木 健二
    田中 吏佐
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