胃がん

はじめに

 胃癌は上皮性の悪性腫瘍で胃の粘膜から発生し胃の壁に徐々に深く浸潤し、発見が遅れると胃の外のリンパ節や離れた臓器(肝臓、肺)に転移します。胃癌は日本人に多い病気で最新の統計によりますと、がん死亡数では肺癌についで第2位であり約5万人ですべての癌死亡数の約16%を占めるとされています。

主な検査

胃癌を見つけ出すスクリーニング検査としてバリウムを服用する胃透視や内視鏡検査(以前、胃カメラと呼ばれていた)があります。最近ではスクリーニング検査として内視鏡検査をうけられる方が多いようです。胃癌が見つかった場合、胃透視や内視鏡の他に、超音波内視鏡(内視鏡にエコーの器械が付属したもの)、腹部エコー CT検査を行い癌の広がり、浸潤の深さの正確に判定します。以上のように複数の検査を行い総合的に癌の進行度を診断し、内視鏡治療や手術の術式、抗がん剤の使用など治療方針を決定していきます。

治療

1.内視鏡治療

1) 一定の基準を満たす胃癌に関しては内視鏡切除で治療できることがあります。

日本胃癌学会のガイドラインでは①粘膜内癌:がん細胞が胃の表層(粘膜内)に留まっているもの ②分化型癌:がん細胞の形や並び方が胃の粘膜の構造を残しているもの ③大きさ2cm以下 ④潰瘍を併発していないもの の4つの条件を満たすものが対象とされています。内視鏡的粘膜切除術(EMR)はスネアと呼ばれる金属の輪っかを病変に引っ掛け高周波電流を流して切り取る方法です。新しい方法として内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があり特殊なナイフを用いて切除する方法で理論的には切除する大きさに制限はありません。ESDの登場により内視鏡治療の対象は拡大してきています。いずれの方法でも1週間程度の入院が必要です。当院ではESDは福岡大学筑紫病院消化器科、九州大学第2内科の協力を得て行っています。

2) 診療実績

平成18年度 上部消化管内視鏡症例数 3,912例
  胃癌に対する内視鏡治療 9例

3) 担当医師

消化器内科 部長 瀬尾 充
放射線科 部長 松浦 隆志

2.手術療法

1) 手術方法の選択肢として、(A)腹腔鏡下手術と(B)開腹手術があります。

手術方法の選択:
 ① 原則として(A)腹腔鏡下手術を第一選択とします。
 ② 以下の場合は開腹手術とします。
  ・癌が胃壁全層に浸潤して胃の表面に露出している可能性がある
  ・リンパ節転移が高度で3群リンパ節転移がある
  ・癌が大きい
  ・癌が近接臓器に浸潤
  ・上腹部の開腹手術歴がある
 ③ 全身状態や術前合併症も考慮します。

2) 診療実績

胃がんの手術実績

2007年 腹腔鏡下手術 23例
  開腹手術 23例
2008年 腹腔鏡下手術 25例
  開腹手術 27例

3) 担当医師

副院長   一宮 仁
消化器外科 部長 許斐 裕之
外科 部長 加藤 雅人
    大城戸 政行
    松本 耕太郎

3.化学療法(抗がん剤)

1) 転移があって手術ができない胃がんの患者さんや手術後に再発した胃がんの患者さんの治療には、抗がん剤を使用します。

この10年で胃がんに効きめのある抗がん剤がいくつか使用できるようになりましたが、残念ながら抗がん剤では、完全治癒は望めず、症状を軽くしたり、延命をするのが目標になります。万国共通の標準治療は、胃がんではまだ確立されておらず、病院や主治医によって、最初に使用する抗がん剤は少々異なることがあります。当院で、胃がんに対して使用している主な抗がん剤を以下に示します。

以上の薬剤を単独か、または2~3種類を組み合わせて、投与します。副作用を見極めながらうまく投与できれば、抗がん剤を投与しない場合に比べて生存期間が延長するという有用性が確認されています。

2) 診療実績

平成20年度 胃がん 新患患者数 44名(うち術後補助化学療法6名)

3) 担当医師

腫瘍内科 部長 三ツ木 健二
    田中 吏佐
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